会計不正への対応 その3 2度目の不正再発防止策
公認会計士・公認不正検査士 安福 健也
1.はじめに
第3回では、1度会計不正が発覚し、改善報告書および改善状況報告書を提出したのち、数年後に再び会計不正が発覚した上場会社の事例を取り上げる。会計不正がなぜ繰り返されるのか、その背景や根本理由並びにその解決策の妥当性を考察したい。
なお、本稿は、取り上げた会計不正の網羅的・総花的な事例紹介ではなく、筆者が重要と認識した事項を抜粋して要約する形をとるものであり、また、文中に記載の考えなどについては筆者個人の見解である点につきご留意願いたい。
2.事例
今回の会計不正は、製造業を営むA社の営業部による売上高の過大(前倒し、水増し)計上および仕入高の過少(先送り、原価の付替)計上が実行された事例である。A社は数年前も営業部による売上高の前倒し計上が行われ、その重要な再発防止策として、売上管理部署が新設されたが、当該部署の監視業務の運用等に不備があり、またA社の取締役も関与するなど、組織的な不正が行われた。
上記は、A社の会計監査人へ匿名の告発があり、監査役および経理部長が通報対象となった事業部門の管理職に事情聴取することにより発覚、A社は過去5年に遡及し訂正報告書を提出した。
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