新春特別寄稿 ディスクロージャー・企業会計をめぐる最近の動向

金融庁 企画市場局 企業開示課長 野崎 彰

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一.はじめに

本稿では、金融庁の企業開示行政に係る最近の動向を紹介する。

まず、コーポレートガバナンス改革については、これまでの取組状況のフォローアップを行うとともに、有識者との議論を経て、2023年4月に「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」(以下、「アクション・プログラム」という)を公表した。

企業情報の開示については、2023年11月、四半期報告書を廃止すること等を内容とする「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が成立し、公布された。サステナビリティ開示についても、同年1月に「企業内容等の開示に関する内閣府令」を改正したほか、サステナビリティ情報に関する開示の好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集2023」を同年12月に公表した。国際的にも、同年6月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によるサステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的な要求事項(S1基準)および気候関連開示基準(S2基準)の最終化等、大きな進展がみられた。

会計監査については、2023年4月に改正公認会計士法および関係政府令が施行され、上場会社等の監査に係る登録制度等が...