Q&Aコーナー 気になる論点(353) 資本の特徴を有する金融商品(2)
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)が2023年11月29日に公表した公開草案(ED)「資本の特徴を有する金融商品(FICE)‐IAS第32号、IFRS第7号、IAS第1号の改正案」(改正案)では、自社の株式を対象とする売建プットオプションを、他のデリバティブのように純額ではなく、IAS第32号「金融商品:表示」と同様に、総額表示することを提案しているのでしょうか。 |
A
はい。改正案では、IAS第32号23項の総額表示の再検討は、このプロジェクトの範囲を超えているとし、また、この要件を変更すると、IAS第32号の他の要件との不一致が生じる可能性があること、決済時の支払総額に基づいて金融負債を認識することは、財務諸表利用者が流動性リスクへのエクスポージャーを評価するのに役立つことから、償還額の現在価値で金融負債を認識することを変更せず、むしろ明確化することを提案しています。
〈解説〉
自社の持分金融商品を購入する義務を含む契約(1)‐IAS第32号
IAS第32号16項では、企業が発行した金融商品を、IAS第32号11項の定義を適用して持分金融商品か金融負債かを判定する際に、[図表1]の両方の要件を...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします