[連載対談]キーパーソンに訊く重要テーマ 第9回「監査役の新たな役割期待」
公益社団法人日本監査役協会 会長 塩谷 公朗
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科 教授 町田 祥弘
Ⅰ.ここが訊きたい
監査役という制度は、日本に固有のガバナンスシステムである。取締役会によるモニタリングに加えて監査役による監督があるという二重構造は、日本国内ではまだしも、グローバルには説明が難しいシステムだといわれてきた。
そうしたガバナンス形態も、2014年の会社法改正で監査等委員会設置会社が認められたことを受けて、大会社においては、指名委員会等設置会社における監査委員会、監査等委員会、監査役会の3つの形態からの選択制となった。
こうした3つのガバナンス形態を背景として、監査役等の業務を研修や情報提供によって支えているのが公益社団法人日本監査役協会(以下、日本監査役協会。)である。
それだけではない。大会社以外の会社においては、常勤の監査役が会計及び業務の監査を担っているが、そうした常勤者の支援も監査役協会の重要な役割といえる。
さらに、近年では監査役等を取り巻く環境は大きく変わりつつある。
第1に、財務報告やガバナンスの領域において、近時監査役等の役割は非常に重視されてきている。例えば、財務諸表監査においては、従来のように外部監査人による監査の実施だけでは高度な監査の品質を維持できない場合...
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