会計不正への対応 その4 内部統制不備の代償
公認会計士・公認不正検査士 安福 健也
1.はじめに
第4回では、建設業を営む上場会社A社の国内完全子会社B社において、経理担当者甲氏(A社の経理管理職およびB社の経理担当を兼務)が10年余にわたり、20数億円に及ぶ不正支出を行った会計不正の事例を取り上げる。
子会社を有する上場会社の経営者は、連結財務諸表の作成とともに、財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(以下、「内部統制監査基準」)により、自社のみならず重要な子会社の内部統制を整備・運用し、重要な取引に係る内部統制の評価結果を内部統制報告書に記載することが求められる。
今回の子会社B社は、同社の売上高(連結相殺後ベース)が連結売上高の10%超を占める特定子会社であり、上場会社A社による財務報告に係る内部統制の評価対象となっていた重要な事業拠点でもある。昨今、会計不正事例のうち、子会社における会計不正事例の割合が増加しているが、その根本原因を究明し、有効な解決策を検討したい。
なお、本稿は、取り上げた会計不正の網羅的・総花的な事例紹介ではなく、筆者が重要と認識した事項を抜粋して要約する形をとるものであり、文中に記載の...
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