<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第101回 概念フレームワーク(17)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
宝くじ
もし宝くじに当選したら、そのことを家族や親しい友人に話しをするかという問いに対して、多くの人が、おそらくしないだろうと答えたという。筆者自身も、もし宝くじに当選したら、家族にも親しい友人にも告げず、こっそりと当選金を受け取りたい。誰にも知られずに自分の口座に、たとえば、1億円というお金が入金されたらどんな気持ちになるだろう。そういうことを考えるだけで、宝くじを買う価値があるかもしれない。
しかし、宝くじの当選確率は限りなく低い。昨年の年末ジャンボ宝くじの場合、一等の7億円の当選確率は2,000万分の1だったそうである。落雷に当たる確率が100万分の1だと言われているので、年末のジャンボ宝くじの当選くじを引くのは、落雷に当たるよりも20倍難しいという事になる。通常このように極端に低い確率の事象は、実質的に無いものと見做して無視される。したがい、冷静に考えれば、宝くじを買うという行為は、実質的にはお金を捨てているような行為である。しかし、それでも人は宝くじを買う。それは、宝くじには夢があるからだ。
引き出しを開けると、まだ抽選日が到来していない宝くじがある。抽選日が待ち遠しくなる。当選し...
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