東証上場会社の不正・不祥事に対する措置の最新実例とその傾向について 第3回(最終回) 個別案件の内容分析
日本取引所自主規制法人 上場管理部調査役 杉野 普規
日本取引所自主規制法人 上場管理部調査役・弁護士 藤森 翔太
本稿では、日本取引所自主規制法人(以下「当法人」という。)が行った東証上場会社における不正・不祥事に対する措置審査の事例をもとに、その傾向を紹介することにより、上場会社はもちろんのこと、内部管理体制構築支援に携わる証券会社、弁護士、公認会計士、コンサルタントなどの上場会社関係者に対しても、不正・不祥事の未然防止や早期是正のために必要な体制構築のポイントをお伝えしていく。
今回は、最近、特設注意市場銘柄への指定 ① を受けたA社、B社、C社の3つのケースについて、不正・不祥事の発生原因や再発防止策などの分析結果を紹介したい。
これらのケースは、いずれも内部管理体制の機能不全などから不正・不祥事が生じたものであるが、その原因や再発防止策については、一般の上場会社に対しても、不正・不祥事の予防や早期是正のための体制構築に向けた有益な示唆を与えることを期待している。
1.措置事例1(A社)
住宅関連のコンサルティング事業を営むA社は、マザーズ市場への上場申請時と、市場第一部への上場市場変更申請時において、予算の達成が課題となっていた。同社は、この予算の達成のために、元社長・元常務が主導し、取...
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