新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第20回 後発事象に関する実務上の論点

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 水野 貴允

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「新・経理実務最前線!Q&A~監査の現場から」第20回では、後発事象に関する留意事項の解説を行います。後発事象については、決算日後に生じた事象に対して、決算実務の中で対応が求められるため、その限られた時間で検討が必要な点から、検討漏れや誤りが生じやすい論点です。国際財務報告基準(IFRS)では、後発事象に関する会計基準であるIAS第10号が公表されていますが、日本では後発事象に関する会計基準がありません。現時点では、日本公認会計士協会が公表する監査基準報告書560実務指針第1号「後発事象に関する監査上の取扱い」(以下「後発事象実務指針1号」という。)や「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「財務諸表等規則」という。)、企業会計原則注解等を用い、各事象の内容ごとに実質的かつ合理的な検討が行われています。また、企業会計基準委員会(ASBJ)及び日本公認会計士協会から2023年6月20日に「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」が公表され、優先順位が高いと考えられる継続企業と後発事象については、日本公認会計士協会から企業会計基準委員会(ASBJ)へ...