開示府令改正を踏まえた「重要な契約」開示のポイント

森・濱田松本法律事務所 弁護士 平川 諒太郎
森・濱田松本法律事務所 弁護士 河西 和佳子

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Ⅰ.「重要な契約」の開示と今般の改正

金融庁は、2022年6月公表の「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告」 を踏まえ、2023年12月22日付で、有価証券報告書、有価証券届出書及び臨時報告書における「重要な契約」の開示に関する「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「開示府令」といいます。)等の改正案に対するパブリックコメント結果(以下「本パブコメ」といいます。)を公表しました。

従来から、有価証券報告書や有価証券届出書では、連結会社において、事業の全部若しくは主要な部分の賃貸借又は経営の委任、他人と事業上の損益全部を共通にする契約、技術援助契約その他の重要な契約 を締結している場合等 には、その概要を記載することとされていました 。今般の改正では、その開示内容について見直しがなされ、以下の合意についても、「重要な契約」として開示が必要となる旨が明確化されるとともに、財務上の特約に関連して臨時報告書提出事由が追加されることとなりました。

【1】企業・株主間のガバナンスに関する合意

【2】企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意

【3】ローン契約と社債に付される...