四半期開示の決算短信一本化について ~利用者の視点から~

みずほ証券 グローバル戦略部 産官学連携室 上級研究員 日本証券アナリスト協会 企業会計部長 熊谷五郎

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Ⅰ.はじめに

2022年6月及び12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(以下、DWG)報告により、四半期開示制度の見直しの方向性が示された。DWG報告提言を踏まえ、2024年4月より開始される事業年度第1四半期より金融商品取引法(以下、金商法)上の四半期報告書が廃止され、第1・第3四半期については、東京証券取引所の決算短信に一本化される。また従来の金商法上の第2四半期報告書は、「半期報告書」へと名称変更される(通期の有価証券報告書は従来通り)。第2四半期決算短信、通期決算短信については、従来通りの法定開示書類の速報という位置付けが維持される。

新制度への移行に先立ち、2023年11月22日東京証券取引所より「四半期開示の見直しに関する実務の方針」(以下、実務の方針)が公表された。その後、実務の方針を踏まえ、2024年3月28日に有価証券上場規程等が改正された。また四半期報告書の廃止、四半期決算短信への一本化に伴い、会計基準、レビュー基準、財務諸表等規則(以下、財規)など必要な周辺制度の改正、整備が進められた。

本稿では以下、今回の四半期開示見直しについて、概要を紹...