<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第106回 概念フレームワーク(22)

―財務諸表の構成要素(8)―

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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残り物には福がある

数人で中華料理のレストランに行くと、中央に回転テーブルがある丸テーブルの席に案内される。そして食事は大皿で人数分が提供される。誰かが気を利かせて人数分を取り分けてくれると楽なのだが、たいていの場合は、中央の回転テーブルを回しながら、順番に取り分けていく。その際、皿に盛られた食事の量を頭の中で人数割りしてみて、大体1人あたりはこのくらいの量だろうという見当をつけて、自分の分を取る。多く取り過ぎて、最後の人に大皿が回ってきた時にほとんど食事が残っていないということがないように、かなり気をつかいつつ自分の分を取り分ける。

そうなると、皆が遠慮するので、たいていの場合は最後の人に大皿が回ってきた時には、1人前よりもかなり多めの食事が残ることになる。まさに「残り物には福がある」ということだ。

しかしいつもそうなるとは限らない。1人目や2人目の人が遠慮がちに取り分けているのに、3人目あたりの人が、あまり何も考えずに、がばーっと取ったりすると、あと2人いるのに、食事が少ししか残っていないというようなことがある。この時に立場が難しいのが、最後から2番目の人である。そのような状況で普通に1...