米国SECによる気候関連開示に関する規則について
有限責任 あずさ監査法人 開示高度化推進部長 関口 智和
1.はじめに
サステナビリティ関連情報の開示を巡って国内外で様々な動きがある。米国では、2022年3月に証券取引委員会(以下「SEC」という。)が気候関連開示に関する規則案を公表して以降、暫く経過し、その動向が注目されていた。この点、SECは、2024年3月6日に公開の会議を開催してこれを最終化している。
本稿では、SECにより公表された気候関連開示に関する規則(以下「本規則」という。)について解説する。なお、本文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であることを申し添える。
2.本規則が公表された背景
最近、気候関連のリスクと影響及びそれに対する企業の対応が企業の財務業績や財政状態に対して重要な影響を与えるようになっている。また、気候関連リスクにどのように対処しているかに関する情報は投資家が経営者や取締役会の対応を評価し、議決権行使をするうえでも重要になっており、多くの投資家が気候関連リスクに関する情報を要請するようになっている。
米国では、これまでにも多くの企業が気候関連リスクに関する情報を開示していた。しかし、これらの情報の多くはSECに対する提出書類以外の媒体で開示されており、開示情報は整合...
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