<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第108回 概念フレームワーク(24)

―認識及び認識の中止(2)―

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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推し活

「推し活」という言葉が一般に使われるようになったのが、いつ頃からなのか寡聞にして知らない。しかし気が付くとかなりご年配の方々も当たり前のように「先月は推し活で忙しくてねぇ」などと話しておられる。そもそも「推し」とは、本来は推薦するという意味であり、人に薦めたいという意味であったと思う。それが、たとえば、この店のラーメンは「イチオシ」ですと言ったりすることがあり、それがいつの間にか、自分の一番好きなミュージシャンやアイドル当人を指して、「彼は私の推しです」などと言うようになった。そのあたりから筆者はだんだんついて行けなくなってきた。

なお、「推し活」という言葉が市民権を得るにつれて、これまでごく少数の人しかやっていなかったことに、より多くの人が気軽に参加できるようになった。それは良いことであり、筆者もこれから自分の「推し」をつくろうと思う。

さて、推し活をやっている人の一番の幸せは、推しに自分のことを認識してもらうことだという。たとえば毎日楽屋まで花を届け、顔を憶えてもらい、「○〇さん、ありがとうございます」などと推しに言ってもらえたら、最高の幸せである。有象無象の何十万というファンの...