我が国における排出量取引制度の導入と今後の発展

経済産業省GXグループ 環境経済室 係長 川島 友貴

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1.はじめに

我が国は、2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言するとともに、2030年度の新たな温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出削減目標として、2013年度比46%削減を「国が決定する貢献」(NDC:Nationally Determined Contribution)として掲げている。このような中で、経済産業省は、2022年4月、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に積極的に取り組む企業群が、GXのための議論と新たな市場創造のための実践を行う場として「GXリーグ」を設立した。

このGXリーグは、2024年6月1日現在、我が国のGHG排出量の5割以上を占める700社超の幅広い業種の企業からの参画を得て、活動している 。GXリーグでは、参画企業が、GHG排出削減目標を掲げて排出削減に取り組むこと、サプライチェーン排出の削減に取り組むこと及びグリーン製品の購入などにより市場のグリーン化を牽引することが求められる。また、GHG排出削減目標を達成する手段として、参画企業間の排出量取引制度及びその目標の進捗を開示するGXダッシュボードが導入されている。

このよう...