<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第116回 概念フレームワーク(32)

―表示及び開示(4)―

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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長方形と正方形

全く個人的な話ではあるが、子供の頃、図形の中で長方形が一番好きだった。三角形や菱形は尖っていて嫌だったし、丸や真四角(正方形)は面白みがなかった。かといって台形や平行四辺形は好きにはなれなかった。ところが、長四角(長方形)には暖かみがあって、何か不思議な可能性を感じさせる魅力があった。

長方形の定義は色々あるが、一般的な定義としては「4つの内角が全て等しく、2本の対角線が等しい長さを持つ」というものである。この定義に従えば、正方形は、長方形のうち特定のものを指すことになる。つまり、4つの角が全て直角の四角形で正方形であるもの以外は全て長方形である。

では、何故そのような四角形を長方形と呼んだり長四角と呼んだりするのかと言えば、それは、向かい合う2組の辺のどちらかの1組の辺の長さが、もう一方の1組の辺の長さよりも長いからで、その長いということを捉えて、長方形(長四角)と呼ぶようになった。しかし、よく考えれば、どちらかの1組の辺の長さは、もう一方の1組の辺の長さよりも短いので、その短いということを捉えて、長方形ではなく、短方形と呼んでも良かった。こう考えると、長いとか短いというの...