企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)の概要

経済産業省 経済産業政策局企業会計室 前係長 野上 美貴

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1.はじめに

これまで我が国においては、投資家の投資判断の基礎となる情報を十分かつ適時に提供すること等を目的として、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書(以下「コーポレート・ガバナンス報告書」という)等の制度開示における企業情報開示の充実が図られてきた。これに加えて、我が国においては、統合報告書やサステナビリティレポートといった任意の報告書を作成・公表する企業数が拡大しており、様々な開示媒体を通じた企業情報開示が進展している。

このような企業情報開示の充実については、投資家をはじめとする情報利用者から一定の評価を得ている一方で、過去10年間、全体で見ると、日本企業のPBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)といった資本市場において重視される企業価値に関するパフォーマンス指標は伸び悩んでいる。これには様々な要因があるが、その一つとして、日本企業による開示量は増えているものの、その内容がなお不十分、又は、アピールすべき利用者に情報が効果的に伝わっていない、という可能性がある。

また、昨今のサステナビリティ関連情報への要求の高まり等を踏まえ、作成者においては、開示にかかる負担...