資本コストや株価(PBR)を意識した経営(後編) 川崎汽船とUACJの事例

Japan P&I Club 代表理事・理事長 (前)川崎汽船株式会社 代表取締役専務 執行役員 鳥山 幸夫
株式会社UACJ 取締役副社長 執行役員 川島 輝夫
京都大学 経営管理大学院・経済学部 教授 砂川 伸幸

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1.はじめに

本稿では、東京証券取引所(2023年)の要請「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」に対する企業の事例(川崎汽船株式会社、株式会社UACJ)を紹介する。川崎汽船は海上運送業を営む企業である。同社と商船三井、日本郵船の三社が、コンテナ船事業を分離して設立したOcean Network Express(通称One)は、事業統合の成功事例と言われている。UACJは、2013年に古河スカイと住友軽金属が経営統合して生まれたアルミニウム総合メーカーである。

川崎汽船のケースは、東証からの要請に対する対応と開示、社内浸透をリードした鳥山が、UACJのケースは同じく川島が執筆を...