IFRSをめぐる動向 第164回 IAS第37号「引当金、偶発負債および偶発資産」の的を絞った改善プロジェクトの動向
PwC Japan有限責任監査法人 公認会計士 浅井 麻菜
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1.はじめに
本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議における討議内容に基づき、IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。IASBでは現在、「引当金―的を絞った改善」として、IAS第37号「引当金、偶発負債および偶発資産」(以下、「IAS第37号」という)の修正に向けた検討が行われています。今回は、本プロジェクトにおいて、IASB会議でこれまでに暫定決定された内容について紹介します。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。
2.プロジェクトの範囲と背景
本プロジェクトでは、IAS第37号と、その解釈指針であるIFRIC第21号「賦課金」(以下、「IFRIC第21号」という)が対象とされ、以下の3つの論点について検討が行われています。
①負債の定義および「現在の義務」という認識規準
②引当金の測定に含めるコスト ③引当金の測定に用いる割引率 |
これらの論点について、現行の要求事項の修正が検討されることになったのは、それぞれ次のような背景があります。
①負債の定義および「現在の義務」という認識規準
IAS第37号は、引当金の認識要件として以下の...
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