不正を見抜くデータ監査 第4回 塵も積もれば…経費不正
公認会計士 坂井 俊介
経費は従業員不正が頻発する領域である。その一方で、長期間にわたり発覚しない場合が多い。何年も累積すると、結果的に大きなインパクトになる。上場会社でも、数億円、あるいはそれ以上の着服事例が見られる。1件ごとの金額が小さく、全体のなかに埋もれてしまうので、データ分析でビジュアルも活用しつつ、手間をかけずに効率的に異常値を探るようにしないと不正は見つけにくい。
経費は、通常次のような業務フローにより計上され、支払いが行われる。
ここでも会社ごとの内部統制の理解が出発点になる。通常は、業務ごとに担当者を分けて、不正を誘発するような兼務が起こらないように従業員相互の内部牽制の仕組みが作られている。しかし、実際には、職務分掌するだけの人員がいないなど、様々な要因により内部統制が完全には機能しない場合がある。次のような職務が同一人物により兼務されている場合は、不正機会が多く要注意である。
・購買申請と承認
・発注と納品検収
・経費計上と支払承認
・支払承認と支払
内部統制の基本は、「もの」、「カネ」、「伝票」の承認と実施の分離である。この原則に外れている部分があれば、内部統制に弱点があるといえる。そもそも職務分掌...
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