「資本コストや株価を意識した経営」に関する現状と今後の施策について
東京証券取引所 上場部企画グループ統括課長 池田 直隆
東京証券取引所 上場部企画グループ 伊藤 歩
1.はじめに
東証が、2023年3月に、プライム市場・スタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営」の推進に関するお願いを行ってから1年半あまりが経過し、この間、多くの企業において対応(開示)を進めていただき、国内外の投資者からは企業の今後の変化に、期待と関心が寄せられている。今般のお願いの背景や趣旨については、本誌( No. 3602・40頁 )をはじめ、各所において多く解説を行っているため、本稿では、足元の上場会社の対応状況や、2024年8月30日、あるいは9月27日に東証が公表した、これまでの評価や今後の施策、開示企業一覧表の見直しなど直近の情報をご紹介したい。
2.上場会社の取組み状況
2024年9月末時点の開示状況は、現在対応を検討中の企業も含め、プライム市場で88%、スタンダード市場で46%となっている。集計を開始した昨年12月末時点からの比較では、プライム市場で38ポイント、スタンダード市場で26ポイント増加し、開示状況は大きく進展したと言える。
【図表1:2024年9月末時点の上場会社の対応状況】
プライム市場の業種別の開示状況を見てみると、引き続き平均PB...
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