<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第120回 概念フレームワーク(36)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
マイホームの夢
日本全国で空き家が増えているらしい。一方で、都心のマンションの価格は高騰している。日本の人口が減少に転じ、それに伴い空き家が増えるのは自然の流れであるが、それは専ら地方で起きていて、都心の人口は減少していない。これは、都心への集中化が起きているからだと説明されている。
ただこの社会現象は、そのような単純な説明だけでは十分ではなさそうである。というのも空き家は都内でも増えている。背景には所有者の高齢化や、相続の問題、借地借家法の複雑さや、その他の税金の問題などが複雑に絡んでいるようだ。
それでもマイホームは多くの人にとって人生の一大事業だ。昭和30年代に生まれた筆者の世代は、ちょうど初めて家を買う住宅の第一次取得のタイミングにバブルが起きた。自分より少し年上の人達は、購入した自宅の値段がどんどん値上がりし、笑いが止まらなかったようだ。一方で我々の年代は、住宅を取得するために貯金を貯めても、住宅価格の上昇に追いつけず、住宅取得に必要な頭金が作れなかった。そうしているうち住宅価格はみるみる上がって、焦って無理をして大きなローンを抱えて、小さなマンションを購入したら、バブルが崩壊し、...
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