<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第122回 リース(1)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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消しゴムのリース

子供の頃、学校に消しゴムを持っていくのを忘れ、友達に借りることがあった。友達は消しゴムを貸してはくれるのだが、減らすなと言う。消しゴムを減らしたら、その分はお前にあげたことになるから、貸してやるのとは違うことになる。それは嫌だという。じゃあどうすればいいのか。消しゴムのカスを集めて返そうか。それとも、明日、借りた消しゴムが減った分を、自分の消しゴムを薄くカミソリで切り取って返そうか。そんなたわいもない会話を楽しんだ。

ただ、人に貸した本がボロボロになって返ってきたり、友達に自転車を貸して、自分が乗りたい時に自転車がなかったりすると、あまり愉快な気持ちにはならない。人にモノを貸すということは、何らかの犠牲を伴うものである。したがって、その犠牲を金銭で補償することはできるかもしれないが、友人との間では難しい。なので、だらしない人には貸したくないし、自分自身も人からモノを借りることのないように気をつけて生活している。

しかし、どうしても借りることの方が合理的なものもある。例えば、まだインターネットが普及していなかった時代、映画はレンタルビデオで観るのが普通だった。もちろん映画館で...