<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第125回 リース(4)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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ゴールデンスパイク

アメリカの山岳西部ユタ州のプロモントリー・サミットという場所に、ゴールデンスパイク国立歴史公園がある。ここは、1869年5月10日に、アメリカ東海岸から建設が進んでいたユニオン・パシフィック鉄道の線路と、西海岸からのセントラル・パシフィック鉄道の線路が連結された場所である。線路をつなぐ最後の犬くぎは黄金製で、これをゴールデンスパイクと呼ぶ。この地でゴールデンスパイクが打ち込まれ、最初のアメリカ大陸横断鉄道が開通した。

そもそもアメリカ合衆国は、大陸の東と西から大陸中部を挟むようにして発展してきた。1776年に東海岸の13州が独立宣言をした合衆国は、徐々に大陸の中南部へと拡大していったが、1848年にメキシコ戦争に勝利し、カルフォルニアなどの西海岸の領土を手に入れる。このようにして19世紀半ばの合衆国は西と東に分かれた国であった。この時代、ヨーロッパ系の人々にとっては、北アメリカ大陸の中西部はまだ政府の管理が行き届かない未開のフロンティアであった。

その未開の大草原には、ロングホーンと言われる角の長い牛が多数生息していた。ロングホーンは、元々はスペイン人が持ち込んだイベリア...