プライム市場における英文開示の拡充に向けた上場制度の整備及び実務のポイント
東京証券取引所 上場部開示業務室 ディスクロージャー企画グループ 調査役 菱田 卓志
調査役 宮澤 なつみ
1.はじめに
株式会社東京証券取引所(以下、「東証」という)は、2025年4月よりプライム市場において、会社情報の英文開示に関する努力義務を新設し、また、決算情報及び適時開示情報については日英同時開示を義務化する。
上場会社の皆様におかれては、今後の英文開示の義務化や海外投資家との対話の内容等を踏まえて取組みを進められているところと思われるが、本稿では、義務化に関する規則改正の概要について改めて解説するとともに、日英同時開示に役立つコンテンツやFAQについてポイントを押さえて紹介するので、実務の参考としていただければ幸いである。
2.英文開示が求められる背景と現状
プライム市場は、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場であり、コーポレートガバナンス・コードにおいても、英文開示について他の市場よりも高い水準の取組みが求められている(図表1参照)。何らかの書類を英文で開示する会社は2024年12月末時点で99.0%に達している。
【図表1】英文開示に関して市場区分ごとに求められる内容
一方、海外投資家からは、日英の情報量や開示タイミングの差といった国内投資家との情報格差が投資の...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします