<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第126回 リース(5)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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織田信長とエリザベス1世

織田信長とエリザベス1世は、ほぼ同じ時期に生まれた。織田信長は1534年6月に生まれたとされている。エリザベス1世は信長より約9ヵ月早い、1533年9月に生まれたとの記録がある。エリザベス1世の方がほんの少しお姉さんだったのである。

織田信長は若い頃、うつけ(常識のない無能)といわれ、信長の弟の信勝が織田家を継ぐべきだと考える勢力が織田家の中にいた。これを鎮めるため、1558年、信長は病気と偽って信勝を呼び寄せ、自らの手で殺害して、織田家の実権を握ったとされている。

エリザベス1世が即位したのも、奇しくも同じ1558年である。エリザベス1世も簡単に即位できた訳ではなかった。血縁の血なまぐさい争いの末に即位に至った。

この2人は、日本とイギリスで、重い中世の扉を開けるという大役を果たすことになる。織田信長は道半ばにして本能寺で倒れたが、エリザベス1世は、信長よりも20年長生きして、その後の大英帝国の礎を築く。

エリザベス1世統治下の英国では、当時最強だったスペインの無敵艦隊を撃破するなど様々な発展があったが、最も後世に大きな影響を及ぼしたのは、この時代に現代につながる商取...