Q&Aコーナー 気になる論点(382) 電力購入契約(PPA)の会計処理(1)
早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)は、2024年12月18日に、「自然依存電力を参照する契約:IFRS第9号及びIFRS第7号の改正」を公表しました。この公表において、IASBボードメンバー14名のうち2名が反対していました。それは、なぜでしょうか。 |
A
2名のIASBボードメンバーは、電力の受取り時に容易に市場で売却するなどの方法によって純額決済する実務は、自己使用(own use)には合致しないことから、IFRS第9号「金融商品」の例外を拡大して自然依存電力を参照する契約を含めることに反対していました。
〈解説〉
IFRS第9号の改正(1)‐経緯
2023年6月開催のIFRS解釈指針委員会では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを購入するための現物引渡しを伴う長期契約にIFRS第9号2.4項(自己使用の例外)を適用する際の課題に関する要望書について議論し、IASBに狭い範囲の基準設定プロジェクトの着手を提案しました(IFRIC Update, June 2023)。
IFRS第9号では、純額決済ができる非金融商品の売買契約は、損益を通じた公正価値(FVTPL)で測定しますが、当該契約の自己使用...
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