会計基準の長い日々 第7回 勇み足、会計基準を踏み越えた!(その2)
~企業会計審議会での謝罪
公認会計士 西川 郁生
( 58頁)
企業会計審議会での謝罪
金融商品実務指針の注目度は高く、複数の新聞社の記者による自宅への夜討ち、朝駆けを一度ずつ経験した。どちらも「公表後にJICPAで記者会見をする」と丁寧にいって帰ってもらった。日経新聞はいち早く、「持ち合い株の損失処理促す」と題する記事を1面トップに掲載した。
実務指針が2000年1月のJICPA理事会で承認された後に、JICPA事務局から「次の企業会計審議会に呼び出されるので出席をお願いします」と伝えられた。聞けば「詫びを入れろ。謝ればそれで済む」とのことである。実務指針が基準を踏み越えているというのだが、どの部分がという指摘はない。
審議会は会計基準(前段の意見書の部分)でJICPAに実務上の措置を依頼している。したがって実務指針は、審議会の結論に沿うように作るという使命がある。ところが、できあがった実務指針の内容に不満がある場合に、審議会が監視し、意に沿わない部分のやり直しを命ずる仕組みはない。JICPAは下請けではあったが、審議会の完全な管理下にはなかった。骨格は決めてあるから、日頃の信頼関係で十分ということなのだろう。
審議会の席に着いたとき、企業会計審議会専門...
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