ミニファイル 金利上昇と減損リスク

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長らく続いた低金利の時代が終わり、「金利のある世界」が始まっている。1月には日銀が政策金利の追加利上げを決定した。

金利の上昇により、企業活動においては資金調達コストの増加などが考えられるが、会計実務に影響を与えることもある。例えば、IAS第36号「資産の減損」における減損リスクの判定などだ。IAS第36号では、毎年の減損テストにおいて回収可能価額が資産の帳簿価額を下回る場合、減損損失を認識する。回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額だが、この公正価値や使用価値の算定には一般に、割引率としてWACC(加重平均資本コスト)が使われる。このWACCに、金利の上昇が関係...