ハーフタイム “偶然”と“必然”

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“偶然”と思われたが実は“必然”だったり、“必然”と思われたが“偶然”だったことは珍しくないが、こうした認識のズレは社会の波乱要因となり易い。理由は2つある。第1は、何々説と言うものは往々にして多様な与件を前提とする“仮説”にすぎないこと。第2は、両者の差は紙一重にすぎないこと。哲学者の九鬼周造によれば、必然の可能性が過半を占めることもあれば、偶然の不可能性が過半を占めることもある(『偶然性の問題』岩波文庫)。では、3つの事例で検証しよう。

事例1:ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)社は創立以来、オプション価値の数式測定モデルなどで有名な2人のノーベル経済学賞受賞者を擁していた...