会計基準の長い日々 第8回 民間設定主体、ついに誕生!(その1)
公認会計士 西川 郁生
民間組織の立ち上げ
民間の会計基準設定機関の設立準備は耳に入ってくるが、私自身はその動きに関わっていない。当時、設立に向けた公式性のある文書が公表されたときには、関心を持って読み込んだ。官庁内の組織である企業会計審議会が策定していた会計基準を民間に移すという試みが実現するのはそう簡単ではない、と思えた。いくつかの文書が世に出ている以上、その方向に向って動いているのは確かだ。だが、民間が官に代わってルール作りをするというのはそもそも日本らしい動きとはいえない。
民間による会計基準作成に関する最初の公表文書は、自由民主党・金融問題調査会・企業会計に関する小委員会(塩崎恭久委員長) ① が1999年12月に公表した「企業会計基準設定主体の拡充・強化に向けて」であった。そこでは会計基準設定主体は7つの条件を満たすことが重要とし、その1つとして「政治・特定省庁、特定業界、特定学派などから、政策面はもとより、予算や人事面を含め、独立性をもつこと」と、独立性を強調している。
企業会計小委員会委員長塩崎恭久氏の尊父は、税務行政に精通していた塩崎 潤氏である。会計人東大会によく来賓として現れ、そのたびに短い挨拶を...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします