不正を見抜くデータ監査 第10回(最終回) 連結データの活用
公認会計士 坂井 俊介
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子会社での会計不正は頻発している。日本公認会計士協会が公表している「上場会社等における会計不正の動向(2024年版)」では、2024年3月期までの5年間に、会計不正の調査報告書を公表した178社・183件の事例のうち、国内と海外合わせた子会社で発生した会計不正は102社(55.7%)に上る。開示事例のため、氷山の一角に過ぎない。
上場会社は、連結財務諸表の作成が義務づけされており、四半期ごとに連結パッケージを連結対象の子会社および関連会社に配布し、連結データを取りまとめている。連結データには、個社ごとのBS・PLや連結仕訳、キャッシュ・フロー計算書作成データなどが含まれている。
最終回となる今回は、連結データを活用した財務分析をベースとした異常値検出の手法について解説する。連結子会社等の財務分析は、連結グループ全体のガバナンス強化にとっても有用と考える。
1.連結グループ全体分析
連結データ(個社ごとのBS・PLおよびキャッシュ・フロー計算書作成データ)を活用し、様々な切り口から分析シートを作成する。連結対象となるすべての会社を一覧表示し、視覚的に外れ値を示す会社を検出する。
(ダッシュボードの...
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