内部統制報告書の新しい記載の仕方 第5回(最終回) ターゲット3 コーポレートガバナンスと全社的なリスク管理

Forvis Mazars Japan有限責任監査法人 公認会計士 高田康行

( 20頁)

※【凡例】は、 第1回 から 第4回 参照

※本稿の意見にわたる部分は、筆者が属する法人の見解ではありません。

ターゲット3は、さらに先行した対応、あるいは、中期的な目標です。目先の課題に耽溺していては、現状の閉塞感から抜け出すことは難しく、あるべき姿を思い描くことは重要です。2023年改訂基準でいえば、追記された「内部統制とガバナンス及び全組織的なリスク管理」の一体的な整備・運用です。その内部統制報告書での記載例を解説します。

サステナビリティ開示基準の制定等の状況に鑑みれば、内部統制へ先進的に取組まれている企業、あるいは、非財務情報と財務報告のつながりや統合報告を重視している企業では、すぐにでも実践していただきたい内容です。具体的には、記載の前提として全社的な重要プロセスを6つ設計して、連結ベースの全社的な内部統制を構築し、評価することが大切です。

1.非財務情報と財務報告のつながり、そして開示の潮流

ターゲット3では、非財務情報と財務報告のつながりを重視しますが、そのつながりを意識するためには、会計基準の適用プロセスを確認することが有効です。

(1)会計基準の適用とJ-SOX

会計基準の適用は、会計事...