我が国のサステナビリティ開示基準の導入に向けた対応策 後編

有限責任監査法人トーマツ 監査・保証事業本部 非財務・サステナビリティ保証統括部  
 パートナー 公認会計士 小口 誠司

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後編では、第三章「我が国のサステナビリティ開示基準に対応する上での課題」のうち、新しい開示基準を導入する上での実務上の課題及びその対応策を具体的な例示も交え解説します。併せて、2024年12月期よりEU域内上場会社を中心にCSRDの発効に基づくサステナビリティ情報の開示/保証が始まりましたので、その開示分析も紹介します。

なお、本記事で述べられている意見は、筆者個人のものであることを明記しておきます。

Ⅲ.我が国のサステナビリティ開示基準に対応する上での課題(つづき)

2.課題及び対応のポイント

1)EUの先行事例を参考にしましょう

CSRDの発効に伴うEU加盟国での法制化に基づき、2024年12月期よりEU域内上場会社を中心にサステナビリティ情報の開示/保証が始まりました。本記事の執筆時点で公表されているサステナビリティ開示書類(アニュアルレポート等)のうち、無作為に抽出した30社を閲覧し、見受けられた傾向について解説します。なお、2025年2月に欧州委員会が「オムニバス法案」を公表し、CSRDについては対象企業の見直し、適用時期の延期及びデータポイントの削減等が提案されています。今後の動向に...