ゼロから学ぶ 新リース会計基準 第11回 借手の会計処理③ 現在価値計算

 公認会計士・税理士 内田 正剛

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借手がリース負債の計上額を算定する際は、リース開始日において未払である借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除する「現在価値計算」を行います。今回はこの「現在価値計算」の考え方や、新リース会計基準との関係についてお伝えします。

●連載の内容(※隔週掲載)

回数 概要
第9回 借手の会計処理① ルールの全体像
第10回 借手の会計処理② 借手のリース料
第11回 借手の会計処理③ 現在価値計算
第12回 借手の会計処理④ 利息費用の配分、減価償却、設例

※以下第18回まで続く。連載の全体像は 第1回 をご覧ください。

1.現在価値計算はなぜ必要か?

現在価値とは、簡単に言うと、利息が含まれている将来受け取るお金を、いまの価値に置き換えたもののことです。

では、なぜ現在価値を算定する必要があるのでしょうか? 例えばみなさんは、「いますぐに20,000円がもらえる案」と「1年後に20,000円がもらえる案」のどちらを選びますか? 多くの人は「いますぐにもらえる案」を選ぶでしょう。なぜなら、早くお金を手に入れた方が、そのお金を運用して、利息などで増やすことができるからです。ここで注目してほしいのは「利息」という部分で...