新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第26回 在外子会社の留保利益に係る税効果会計の留意点
EY税理士法人 公認会計士 勝宮 裕樹
企業が海外展開を行う場合、現地での子会社設立や現地法人の株式買収により展開することが一般的であり、その財政状態および経営成績は、在外子会社の個別財務諸表を通じて日本の親会社の連結財務諸表に反映されます。本稿では、在外子会社を有する場合に、連結財務諸表において留保利益に係る税効果会計を検討するにあたり、特に留意すべき点を解説します。本稿は、あくまで税務規定を踏まえた会計処理の解説を目的としているため、根拠条文を含む税務規定の詳細な解説は一部省略しています。 なお、本稿中の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人およびEY税理士法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。 |
Q1
子会社の留保利益に係る一時差異とその税効果の概要を教えてください。
A1
我が国の会計基準では、連結決算手続の結果として生じる連結貸借対照表上の資産および負債の金額と個別貸借対照表上の資産および負債の金額との差異は連結財務諸表固有の一時差異となり、これは連結財務諸表における税効果会計の対象となります。
この点、親会社の投資後に増加した子会社の利益剰余金の親会社持分相当額(以下、「留保利益」という...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 お試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします