アジャイル型のソフトウエア開発における資産計上時期と範囲は?

※ 質疑応答の内容は公開日時点の情報に基づくものです
Q

 最近のソフトウエア開発は、従来型の「ウォーターフォール型開発」に代わって「アジャイル型開発」が多くなっています。アジャイルとは、「素早い」「機敏な」「頭の回転が速い」という意味で、従来の開発手法に比べて開発期間が短縮できるとされているため、こう呼ばれています。

 また、開発の初期において、PoC(概念実証)という段階が設けられることが増えています。これは、試作的なソフトウエアを作成し、その機能の実現可能性の検証を行う段階とされています。

(1)アジャイル型開発では、一般的に1週間から4週間の反復期間を設定し「計画」→「設計」→「実装」→「テスト」という開発工程を小さな機能開発毎に踏んでいきます。このサイクルを「イテレーション」と呼び、機能毎に「イテレーション」を繰り返していきます。
 こうした開発手法であるため、結果として、年度末にソフトウエア成果物が残る可能性がある場合(開発途上で全て廃棄される場合は別論)、資産計上を開始すべき時点、終了すべき(検収)時点、及びその費用の範囲が非常に判りにくく、悩んでいる次第です。
 当社においても実際に、特に社内利用のソフトウエアについて、本格開発に進む事前の段階(PoCなど)において、アジャイル型の開発を実施していますが、この場合、どのような税務処理が妥当でしょうか。

(2)PoCは、一般的には研究開発段階と見做されていますが、例えば、試作の成果を完全に廃棄しないで、そのまま実現段階(要件定義以降)にも応用することがあります。そのため、後付け的に「以前から開発行為が開始されていた」と、税務調査において指摘される懸念があります。
 このような場合、資産計上を開始すべき時点及びその費用の範囲について、税務上どのように整理すればよいでしょうか。
 当社としては、期末時点で、各開発テーマ(アジャイル開発ではイテレーション)別に、これまでに掛かった費用及び期末時点での状態を棚卸し、結果の出ていない「仕掛状態」のものは仮勘定計上、その後の本番開発に活用されるものはソフトウエア計上、終了済のものは廃棄手続きをした上で費用計上と、仕分けていくしかないものと考えています。
 ただし、実情として、特に社内開発においては、テーマ別に細分してそれぞれの資産計上額を算定するといった作業は、対応が困難と思われます。

A
(専門家の見解全文 文字数:1219文字)

【諸星】 「アジャイ………

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