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国際税務の相談室☆非居住者課税 コロナ禍の影響で日本に一時帰国した子会社役員の役員報酬等に対する課税関係

 税理士 伊藤 雄二

( 95頁)

Q

日本の親会社の従業員Aは,これまで3年ほどタイ子会社に出向して専ら同社の常勤役員として働いていました。この度,コロナ禍の影響でタイ子会社の稼働状況が悪化したため,親会社の人事措置により日本に一時帰国し,当面はタイ子会社の非常勤役員として活動するとともに,出向前に従事していた日本親会社の業務を日本親会社の従業員として行うことになりました。

その結果,Aは,役員報酬についてこれまでと同様に日本の非居住者としてタイ子会社から支払いを受けることになりました。また,日本親会社の業務に係る給与は,日本親会社の負担から支払いを受けることになりました。なお,そのいずれもが日本国内のAの銀行口座に振り込まれることになっています。Aの日本滞在期間はとりあえず5か月間と予定されていますが,この場合,Aは日本でどのように課税されることになるでしょうか。

A

タイ子会社の役員報酬については日タイ租税条約に規定する短期滞在者免税規定によりわが国では課税されませんが,日本親会社の従業員給与については同規定が適用されないため,わが国で所得税が課されます。

解説

ご質問の事実関係に基づくと,タイの居住者(日本非居住者)であるA...