※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです
国際税務研究 タックス・ヘイブンのペーパー子会社を清算する場合の赤字補填
青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫
( 104頁)
設例
1 日本法人であるA社は、世界各国に傘下のグループ会社を置いて、手広く各種の事業を展開している、いわゆるマルチ・ビジネス・カンパニーであるが、グループ会社の中には、必要に応じて活用するためにタックス・ヘイブン国に導管として置いてあるペーパー・カンパニーがいくつかある。
むろんこれらのペーパー・カンパニーに計上される利益については、すべてタックス・ヘイブン税制の適用を受けて、A社において合算課税の対象として申告しているが、そのうちの1社であるB社について、最近次のような状況が生じている。すなわち、B社は、現地に固定施設を置かず、専らインターネットを利用したA社の国際金融部門の完全な管理・支配・...