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移転価格税制についての素朴な疑問⑯ 単年度検証か複数年度検証か(2)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 77頁)

Ⅰ はじめに

1 問題の所在

2 検討の視点

3 検討対象

Ⅱ 国税庁の見解と納税者の対応の整理

1 国税庁の見解

2 納税者の対応

3 まとめ

Ⅲ 比較対象に係る複数年度データの使用

1 国税庁の見解

2 納税者の対応

3 まとめ

Ⅳ 検証対象に係る複数年度データの使用

1 国税庁の見解

2 納税者の対応

3 まとめ

V まとめ

1 検証方法の対比

2 主要な留意点

3 さらなる疑問

 

 

 

 

Ⅳ 検証対象に係る複数年度データの使用

1 国税庁の見解

(1)初期調査の局面

前記Ⅲ、1(1)で引用した移転価格事務運営指針3―2(2)が明記するとおり、検証対象である国外関連取引について一般的な需要の変化、製品のライフサイクル等により価格が相当程度変動することが認められる場合には、単年度の情報で検討することが適切でない場合がある。このような場合、移転価格税制上の問題の有無を検討する初期調査の局面では、検証対象取引(企業)について複数年度データの使用が認められる。

上記指針は、個別の国外関連取引について複数年度データを使用して検討することが許容される場合があることを述べるにとどまり、国外関連者(外国子会社)全体の営業利益率を複数年度で検討することを...