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[全文公開] domestic news 所得税法等の一部改正案が国会に提出

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政府は2月3日、令和5年度税制改正に係る 「所得税法等の一部を改正する法律案」 を通常国会へ提出した。

法案の中では、今回の改正で導入されるグローバル・ミニマム課税(国際最低課税)制度についてもその内容が示されている。

7億5,000万ユーロを円換算して対象を判定

国際最低課税額に対する法人税等は、「特定多国籍企業グループ等に属する内国法人」に課せられることになるが、この対象となるかの判定は、多国籍企業グループ等の各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度において、その総収入金額が「7億5,000万ユーロを財務省令で定めるところにより本邦通貨表示の金額に換算した金額以上であるものその他これに準ずるもの」とされており、7億5,000万ユーロを円換算して判定を行うことが示されている(法法(案)82条四)。

また、上記のとおり同制度の対象となるかについては、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度で判定基準の金額以上であるかどうかを判定することになるが、同制度は令和6年(2024年)4月1日以後開始会計年度から適用されるため、例えば3月期決算会社における適用初年度では、直前の4対象会計年度として「2020年4月~2021年3月から、2023年4月~2024年3月まで」の4会計年度を判定することになる。

制度適用当初の経過措置の内容なども示す

また、同制度の導入当初には、改正法(案)附則第14条で示された国際最低課税額の計算に関する経過措置が設けられる。この中では、国別報告事項や連結財務諸表に記載された額を使用して、構成会社等の所在地国に係る法人税等の額が調整後税引前当期利益額のうちに占める割合が一定以上(令和6年4月以降開始年度は15%以上、令和7年開始年度は16%以上、令和8年開始年度は17%以上)である場合には、当該構成会社等の所在地国における国際最低課税額を零とする(改正法(案)附則14条①二)などの経過措置が示されている(なお、経過措置に係る計算の詳細な事項は政省令で定められる)。

また、同制度の確定申告と、特定多国籍企業グループ等報告事項等の提出は、各対象会計年度終了日の翌日から1年3月以内に行うこととなるが、最初に提出すべき対象会計年度については「1年6月」以内に申告・提出を行うこととされている。(法法(案)82条の6②、150条の3⑥)

なお、各構成会社等の実効税率を計算する際のベースになると考えられる「個別計算所得等の金額(法法(案)82条二十六)」、「調整後対象租税額(法法(案)82条三十)」の計算の詳細については政令で定めることも示されている。