移転価格税制についての素朴な疑問 21 無形資産取引について何に留意すべきか(3)
外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一
Ⅰ はじめに ( 5月号掲載 ) 1 問題の所在 2 本稿の対象 Ⅱ 令和元(2019)年度税制改正とその背景 1 BEPSプロジェクトと無形資産 2 令和元(2019)年度税制改正の概要 Ⅲ 無形資産の定義 1 国内税法とOECD移転価格ガイドラインとの異同 2 無形資産の意義と種類 3 無形資産に含まれないもの 4 まとめ |
Ⅳ DEMPEと独立企業間対価の支払 ( 6月号掲載 ) 1 DEMPEの導入 2 国内税法の考え方 3 まとめ
3 研究開発委託取引 4 譲渡取引 5 管理委託取引 Ⅵ まとめ 1 本稿のまとめ 2 今後のテーマ |
Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引
1 日系多国籍企業の実態
(1)一般的な傾向
日系の製造業の多くは、日本の親会社が開発技術を囲い込み、そうした技術ノウハウを最大限に活用し、圧倒的なものづくりの力でグローバルな競争を勝ち抜いてきたといわれている51。このため、日系の多国籍企業グループは、親会社に無形資産を集中させようとする傾向が強いとされている。BEPSとして問題視されたように、アグレッシブなタックスプランニングを採用する欧米の多国籍企...