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移転価格税制についての素朴な疑問 21 無形資産取引について何に留意すべきか(3)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 68頁)

Ⅰ はじめに 5月号掲載

1 問題の所在

2 本稿の対象

Ⅱ 令和元(2019)年度税制改正とその背景

1 BEPSプロジェクトと無形資産

2 令和元(2019)年度税制改正の概要

Ⅲ 無形資産の定義

1 国内税法とOECD移転価格ガイドラインとの異同

2 無形資産の意義と種類

3 無形資産に含まれないもの

4 まとめ

Ⅳ DEMPEと独立企業間対価の支払 6月号掲載

1 DEMPEの導入

2 国内税法の考え方

3 まとめ

Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引

1 日系多国籍企業の実態

2 ライセンス取引

3 研究開発委託取引

4 譲渡取引

5 管理委託取引

Ⅵ まとめ

1 本稿のまとめ

2 今後のテーマ

Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引

1 日系多国籍企業の実態

(1)一般的な傾向

日系の製造業の多くは、日本の親会社が開発技術を囲い込み、そうした技術ノウハウを最大限に活用し、圧倒的なものづくりの力でグローバルな競争を勝ち抜いてきたといわれている51。このため、日系の多国籍企業グループは、親会社に無形資産を集中させようとする傾向が強いとされている。BEPSとして問題視されたように、アグレッシブなタックスプランニングを採用する欧米の多国籍企...