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[全文公開] 国際税務の英単語 interquartile range(四分位レンジ)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、移転価格税制に関係する一般的な用語です。

独立企業間価格を算定するにあたり、比較可能性が十分な非関連者間取引(比較対象取引)が複数存在し、独立企業間価格が一定の幅を形成している場合があります( TNMM をイメージして頂ければよいと思います)。この場合、その幅の中に国外関連取引に係る価格や利益率等があるときは、移転価格課税の対象にはなりません。

この場合の「幅」は四分位レンジの場合もあります。四分位レンジというのは、比較対象取引のデータの数の上位25%と下位25%を除外した、残り50%(つまり、真ん中の50%)から構成されるレンジをいいます(フルレンジに比べると、異常値を排除しやすいというメリットがあります)。

この「四分位レンジ」に対応する英語は interquartile range です。統計用語なのかもしれませんが、 IQR と略されていることもあります。ちなみに、 quartile というのは「四分位数」(データを小さい順に並べて、それをデータの数で4等分したときの区切り値)のことです。 interquartile は、 quartile の間( inter )というイメージでしょうか。

なお、四分位レンジに対して、比較対象取引のデータの全体(100%)が「フルレンジ」で、これも移転価格税制の文脈では、よく出てくる表現だと思います(英語でも、そのまま full range です)。

その他、関連する用語として、「中央値」がありますが、これは英語でいうと median です。税務の世界でどの程度使うかはわかりませんが、 mean (平均値)/ median (中央値)/ mode (最頻値)あたりは、一般常識として覚えておいてもよいかもしれません。