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租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第9回

  秋元 秀仁

( 66頁)

略歴  旧大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。

目次

はじめに

 事案の概要

 事実関係

 判断

1 原審の判断≪参考≫

2 最高裁の判断

 検討

1 判断枠組みの変遷と最高裁の枠組み

2 補足意見の意義と考察

3 判断要素「支配力」の必要性

4 課税執行面の安定性を踏まえた検討

5 最高裁判決の射程と課税実務への影響

はじめに

課税実務において過去の租税判例や裁決事例を参照することは大変意味のあることですが、その前提となる取引や事実関係は、自身の行う取引や将来行う予定の取引と完全に一致するものではありません。完全に一致しない事案を参照する場面において、その事案の判断結果や判断枠組みを自身の行う取引等に係る課税の可否要素としてどの程度考慮する必要があるのか、あるいは影響が生じ得るものなのか、気になるところです。

本コーナーは、租税判例や裁決事例を題材に、その判断結果のみにとらわれず(勝ち負けは...