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[全文公開] domestic news 国税庁 「国際最低課税額に対する法人税に関するQ&A」を公表

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国税庁は昨年の12月25日、 「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税に関するQ&A」 を公表した。このQ&Aでは、グローバル・ミニマム課税制度に係る疑問点や、制度の概要等について税務上の取扱いをまとめた内容が掲載されている。

Q&Aとしては、Q1~Q15の内容を解説しており、例えば、「Q1 会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(意思決定機関)を支配している場合に該当しない場合」、「Q2 本邦通貨表示の金額に換算する方法」、「Q3 所有持分に係る請求権割合の計算方法」、「Q4 特定組織再編成の意義」、「Q7 罰金等の範囲について」、「Q9 CFCに対する被配分当期対象租税額における通算税効果額の取扱い」、「Q11 国際最低課税額の計算」、「Q13 実質ベース所得除外額のうち特定費用の額の範囲」、「Q15(1) 移行期間CbCRセーフ・ハーバーにおける 措法第66条の4の4 第1項の国別報告事項の意義」、「Q15(2) 我が国のIIR施行前に他の国又は地域で移行期間CbCRセーフ・ハーバーの適用を受けていない場合のIIR施行後の移行期間CbCRセーフ・ハーバーの適用関係」、「Q15(3) IIRにおける所在地国と国別報告事項における居住地国が異なる場合における移行期間CbCRセーフ・ハーバーの取扱い」等に係る疑問点について回答が示されている。

■移行期間CbCRセーフ・ハーバーで用いることができる国別報告事項を示す

グローバル・ミニマム課税制度には、令和6年4月1日から令和8年12月31日までの間に開始する対象会計年度において、国別報告事項等の内容を用いて要件充足の有無を判断する移行期間CbCRセーフ・ハーバーが設けられており、制度の適用開始を控える中、このセーフ・ハーバーに注目が集まっている。

上記のとおり、この移行期間CbCRセーフ・ハーバーについては、3つのQ&Aが示されており、このうち「Q15(1) 移行期間CbCRセーフ・ハーバーにおける 措法第66条の4の4 第1項の国別報告事項の意義」では、移行期間CbCRセーフハーバーで用いることができる国別報告事項について解説している。

具体的には、移行期間CbCRセーフ・ハーバーにおいて、「構成会社等の財務諸表(一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って作成されたものに限る)、又は最終親会社等の連結パッケージのデータを用いて作成された国別報告事項を用いることができる」とした一方で、「基本的に、内部管理会計のデータを用いて作成された国別報告事項を移行期間CbCRセーフ・ハーバーで用いることはできない」ことも示している。

ただし、「重要性の原則により連結の範囲から除かれる会社等」においては、企業集団の計算書類にその財産・損益の状況が連結して記載されないことから、「内部管理会計のデータを用いて作成された国別報告事項を移行期間CbCRセーフハーバーで用いることができる」ことも注書きの中で示されている。同様に、「恒久的施設等」についても、必ずしも財務諸表が作成されているとは限らないことから、財務諸表を使用できない場合には、内部管理会計のデータを用いて作成された国別報告事項を用いることができるとしている。

■制度適用判定時の7億5,000万ユーロ等の円換算で使用するレートの参照ページも紹介

また、グローバル・ミニマム課税制度の適用対象となる特定多国籍企業グループ等に該当するかについては、各対象会計年度の直前4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度において、総収入金額が「7億5,000万ユーロを円換算した金額」以上となるかどうかの判定が必要となる。その換算レートは、対象会計年度開始日の属する年の「前年の12月」における欧州中央銀行が公表する外国為替の売買相場の平均レートを用いるが、「Q2 本邦通貨表示の金額に換算する方法」において、欧州中央銀行HPで外国為替相場の売買相場を公表しているページのアドレスや、同ページにおいて、必要な円/ユーロの平均レートを表示する方法等が紹介されている。

■実質べース所得除外額のうち人的役務に係る「特定費用の額」の範囲について解説

また、「Q13 実質ベース所得除外額のうち特定費用の額の範囲」では、実質ベース所得除外額のうち、勤務その他の人的役務の提供に起因する「特定費用」の範囲について、法令規定やOECDコメンタリーの内容を紹介しつつ、「役員報酬」や「従業員に対する退職給付費用」が特定費用に含まれるかという疑問点について回答している。

例えば、特定費用は、従業員又はこれに類する者に係る一定の費用とされており、役員はその中に含まれていないため、「役員報酬は、特定費用に含まれない」としている。

また、「従業員に対する退職給付費用は、特定費用に含まれる」こと、「ただし、退職給付費用は、その計上時において特定費用の額とすることとなるため、退職給付の支給時には、特定費用の額とはされない」ことなども示されている。