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チャレンジ!移転価格税制 [第90回] 子会社の利益率が高い場合に差異調整は有効?

DLA Piper(ディーエルエイ・パイパー東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所) 税理士・国際税務クリニック院長 山田 晴美

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部長: あー、困った、困った。

新二: どうしたんですか?そんなに焦って。

部長: 先日、企業の集まりに出たんだけど、どうも最近の税務調査では、移転価格が厳しく見られて、みんな酷い目に合っているようなんだよね。

新二: 具体的には、どういう感じなんでしょうか。

部長: 以前に杏さんが言っていたように、移転価格に主眼が置かれてしまうと、調査期間が一般調査の何倍にも伸びて、その分、資料の提出数も膨大なものになるらしいんだよ。

新二: えーっ、それは困りますね。特に当社の場合は、国際税務専門の人員はいないので、決算の合間にボクが対応するしかないですよね。とても対応できる自信はないなあ。

部長: しかも「海外子会社の利益率が10%を超えると許してもらえない」ということらしいから焦ってしまったんだよ。

新二: 当社だとインドネシア、タイ、中国の子会社は結構利益が出ていますから、まずいですね。

部長: ただ、海外の高収益は日本側の貢献以外にも、いろいろな要素で成り立っているわけだから、「利益が出すぎているから、はい、課税ね」というのは納得できないな。

新二:当社では、海外子会社への支援や技術供与はほとんど無いのに、ロイヤリティを5%...