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[全文公開] domestic news 国税庁 グローバル・ミニマム課税に係る通達の趣旨説明を公表

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国税庁は4月26日、 「令和5年9月21日付課法2―17ほか2課共同『法人税基本通達の一部改正について』(法令解釈通達)の趣旨説明」を公表 した。この中では、昨年の9月に公表された令和5年度の法人税関係法令等の改正のうち「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(グローバル・ミニマム課税のIIR)」に対応した法人税基本通達の所要の整備において新設された95本の各通達について、その背景・趣旨などが説明されている。

なお、趣旨説明の前書きでは、国際最低課税額に対する法人税創設の経緯なども説明しており「各国がグローバル・ミニマム課税を導入する場合には、OECDのモデルルール等に定められた結果に整合する形で制度を実施・運用することが求められている」ことから、「法人税基本通達の一部改正においても、その法令解釈についてはモデルルール等の趣旨を十分に踏まえて行っており、また、諸外国の税制や会計制度は区々であることから一義的な取扱いを定めることができないようなケースについては、例示をするにとどめている」ことも示している。

■「対象租税」の範囲について例示を追加するなど通達の様々な点について解説

上記のとおり趣旨説明では、多岐にわたる通達について、解説が行われている。

例えば、「所得に対する法人税又は法人税に相当する税の範囲( 法基通18―1―64 )」では、グローバル・ミニマム課税制度の対象租税における「所得に対する法人税又は法人税に相当する税」の範囲などを例示しているが、趣旨説明の中では、通達で記載している例示以外にも、いくつか該当する税を示している。例えば、国または地域の法令における構成会社等の所得に対する法人税又は法人税に相当する税に該当するものとして、「特別法人事業税(基準法人所得割に係る部分に限る)や、外国に見られる銀行業、石油ガスの探査・生産など特定の活動から生ずる純資産に課される税」なども対象租税に該当することなどが示されている。

また、「構成会社等の従業員又はこれに類する者の範囲( 法基通18―2―1 )」では、実質ベースの所得除外額のうち「特定費用」の額を集計する際にその該当の有無が重要となる「構成会社等の従業員又はこれに類する者」には、構成会社等の通常の業務(構成会社等の指揮命令を受けて行うものに限る)に従事する外部職員(独立請負人)が含まれることを示しているが、趣旨説明の中では、この外部職員(独立請負人)には「構成会社等の通常の業務に従事する人材派遣会社等に雇用されている者が含まれる」一方で、「構成会社等に商品またはサービスを提供する会社の従業員や、その構成会社等と業務委託契約を締結した会社が行う研修や監査等をする会社の従業員は、外部職員(独立請負人)に含まれない」ことなども示している(なお、昨年12月に国税庁が公表した 同制度に関するQ&A のQ13でも同様の取扱いが示されている)。