国際税務の相談室☆移転価格税制(ローカルファイル) 最近の調査事例(ローカルファイルを使った移転価格調査)
税理士法人フェアコンサルティング 石井 睦
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当社がA国及びB国に設立した100%製造子会社A社及びB社は、当社から原料及び半製品等を仕入れ、完成品を製造し非関連者に販売しています。このうち、A社は完成品を専らA国内で販売していますが、B社はB国内及びB国外にも販売しています。また、B社は、製造コストの削減に向けた取組みを積極的に行うとともに、B国の取引先と情報交換を密にしてB国内の流通慣行を把握し、これに対応した取引に改めました。この結果、B社はB国内に独自の販売方法を確立することに成功し、B国での販路は大幅に拡大し、当社からB社に対する売上もここ数年顕著に伸びています。このような中、国税局調査(査察)部の一般部門による税務調査が始まり、当社はその調査に同行した国税局調査部国際調査課の国際税務専門官(調査官)から以下の指摘等を受けました。B社との国外関連取引に係るローカルファイルは受領しているが、A社との国外関連取引に係るローカルファイルは受領していないので、早急に提出していただきたい。B社との国外関連取引に係るローカルファイルをみると、B社の売上高営業利益率がB社の比較対象企業の売上高営業利益率の四分位レンジ1の上限値を上回...