国際税務の相談室☆外国子会社合算税制 特定所得の部分合算における繰越控除の計算
東京富士大学 客員教授・税理士 伴 忠彦
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当社(P社)は3月決算で、令和(以下「R」)7年3月期の法人税申告を準備しています。P社はZ国に100%子会社のS社(R3年設立、12月決算、卸売業)を有しています。Z国は法人税率17%で、S社の租税負担割合は常に20%未満です。S社は本業の他に投資目的の有価証券売買を行っており、R6年度(R6年12月期)までの譲渡損益は【図表1】のとおりです。売買する有価証券の保有割合はいずれも25%未満で、譲渡損益は特定所得に該当します。S社にはこれ以外の特定所得はなく、決算に基づく所得金額が4億円を超えたこともありません。【図表1】 S社の特定所得の金額(単位:万円)R3年度R4年度R5年度R6年度外国関係会社の区分部分対象部分対象対象部分対象有価証券の譲渡損益△2,4001,000△1,8004,000S社は、基本的に経済活動基準のすべてを満たす部分対象外国関係会社ですが、R5年度だけはたまたま非関連者基準を満たさず、対象外国関係会社となりました。しかし、その年度はS社全体の所得が赤字でしたので、会社単位の合算課税は生じていません。また、R3年度とR4年度は特定所得が2,000万円以下でした...