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TP Controversy Report〈91〉 国外関連者(取引)の範囲

EY税理士法人  竹内 茂樹

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はじめに

我が国の場合、移転価格税制が適用になるのは「国外関連取引」に対してであり、当該「国外関連取引」は「国外関連者との間の取引」と定義付けされています。そうすると、「国外関連者」にどこまでが含まれるかによって、我が国移転価格税制が適用されるかどうかが決まることになります。

我が国の「国外関連者」の判断基準は、一般的には、"出資比率が直接又は間接に50% "という基準になっていますが、この形式基準に加え、出資比率が50% であっても実質的に支配関係が存在していないかをみる実質基準も追加されています。

また、これらが"直接又は間接に連鎖する場合"についても、「国外関連者」とされますので注意が必要となります。特に、海外子会社や孫会社等が多い場合には、「国外関連者」であることを見落として、思わぬ課税につながってしまうことがないよう管理することが望まれます。

1 我が国制度概要

(1)我が国の制度では、国外関連取引に対して、移転価格税制(措法66条の4)が適用されるとされており、本制度では、「国外関連取引」とは、「外国法人で、その法人と「特殊の関係」を有する者(国外関連者)との間で行う資産...