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[全文公開] 国際税務の英単語 Joint Venture(JV)(共同支配親会社等)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、グローバル・ミニマム課税(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)に関する用語です。

前回equity method (持分法)の解説で予告したとおり、今回の用語は Joint VentureJV )で、その訳は「共同支配親会社等」です。

順を追ってご説明すると、国際最低課税額に対する法人税については、構成会社等( Constituent Entity )のほか、「共同支配会社等」もその対象とされます。ここで、共同支配会社等とは、シンプルには以下のいずれかに該当する会社等をいいます。

① 共同支配 会社等

② ①の会社等の連結等財務諸表にその財産及び損益の状況が連結して記載される会社等(除外会社等を除く)

③ ①または②の会社等の恒久的施設等( PE:Permanent Establishment

このうち、①の共同支配 会社等とは、基本的に最終親会社等( UPE:Ultimate Parent Entity )の連結等財務諸表において持分法( equity method )が適用される会社等で、その最終親会社等が直接または間接に有する請求権割合が50%以上のものをいいます(ただし、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等及び除外会社等( Excluded Entity )を除く)。すなわち、共同支配親会社等は持分法が適用される会社等ですが、すべての持分法適用会社というわけではなく、基本的に保有割合(請求権割合)が50%以上であるものに限定されます。要は「50:50の JV 」というイメージですが、この「共同支配親会社等」に対応する英語が JVJoint Venture )だということです。

一方、②については、英語では JV Subsidiary と表現されます(単純に共同支配 会社等の 会社( subsidiary )という位置付けなので)。また、少しややこしいですが、③の JVJV SubsidiaryPE についても、別個の JV Subsidiary という整理になります。そして、「共同支配会社等」という用語については、上記①~③を包含する概念なので、敢えていうなら、 JV Group という英語が対応するでしょうか。